学長コラム第8回「大学の魅力のひとつ“研究”とは何か」
皆さん、こんにちは。学長の大山です。今回は、大学という高等教育機関のひとつの使命であり、あらゆる大学生が何らかの形で取り組むことになる“研究”について取り上げたいと思います。
以前にもお話ししましたが、私が大学生のとき研究テーマとして選んだのは、ラジコンヘリコプターの研究です。その根底には、私自身が趣味でラジオをつくったり、ラジコンのヘリコプターや飛行機をつくったりと、モノづくりが好きだったことがあります。そこから始まって、ラジコンヘリコプターをコンピューターで飛ばすために、中身の原理をはっきりさせたい、分からないことを明らかにしたいと思い、ラジコンヘリコプターの研究室を選びました。ですから研究を始めるきっかけとしては、新しいモノをつくりたいという思いもありますが、自分で「追究して納得したい!」という思いも強くあったのです。
では、趣味と研究の違いとは何でしょう? 少し極端な言い方をすると、趣味は自己満足でよく、何かを明らかにする必要も、結果を人に説明する必要もありません。一方で研究は、他の人が同じことをしても同じ結果が得られる原理をはっきりさせなければならず、さらにそのことを一般化して他の分野にも応用できるように示さなければならないのです。そういう違いは確かにありますが、どちらにも好きなことを突き詰めたい、分からないことを明らかにしたいという思いがあるのは確かです。
受験生?高校生の皆さんは、“研究”と聞くと難しく捉えるかもしれませんが、このように自分の中にあるもの、好きだとか知りたいといった動機から研究を始めても構わないのです。自分は何が好きで、何をしたいのかをはっきりと分かっている高校生は少ないと思います。ですから、何となくでも興味があるもの、面白そうだと思ったことを足掛かりに、「大学で勉強し始めてみようか」ぐらいのスタンスで良いのではないでしょうか。それをきっかけにして、大学で行われている研究に接していくうちに、「こういう方法があるのか!」とか「こんなことがまだ分かっていないのか!」「これができると、もっと良くなるのでは?」といったワクワクする発見や疑問に出合えるでしょう。
そうして学んで、色々なことが分かってくると、不思議なことに次の新しい興味や疑問が湧いてくるものです。自分の好きなもの、面白そうと思ったことをとことん追究してみることが大切です。そういうことに挑戦できるのが、大学時代の一番の面白さだと思いますよ。