イタリア風味の大阪人が挑む
AI×情操教育
デザイン学部
葛原 俊秀 准教授
- 略歴
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- 早稲田大学理工学部建築学科卒業
- ウェールズ大学ドムスアカデミー造形研究科
アート&デザイン修士コース修了 - 株式会社ZERO代表取締役
INTERVIEW
建築への目覚め
大阪で生まれ育った私は、建築士の父の影響や、幼少期に夢中になった秘密基地作りなどの空間遊びを通して空間の面白さに触れ、建築の道を志しました。美術教育を正式に受けた経験はなく、絵が得意だったわけでもありません。大学時代は東京の活気に圧倒されつつも、歌舞伎町やゴールデン街の洗練されていない雰囲気に居心地の良さを感じていました。恩師からは「建築は失敗しても隠せず、社会に残り続ける」という責任の重さを学びました。また「長期休暇は海外で現地の建物を体験せよ」と強く勧められ、ヨーロッパやアメリカを一人でバックパック旅行し、特にオランダやスイスの建築思想に大きな刺激を受けました。

美しいだけではない
「仕組みのデザイン」
大学卒業後はイタリア?ミラノに留学し、現地のデザイン事務所でも働きました。帰国後は自身のデザイン事務所を設立し、何十もの企画を関係各所にプレゼンしては断られる日々を7?8年続けました。その中で、日本の食料自給率の低さと豊作による野菜の大量廃棄という矛盾に問題意識を持ち、「仕組みのデザイン」による解決の必要性を強く感じるようになりました。デザインの本質は表面的な美しさだけでなく、根本的な仕組みを作ることにあると考えるようになったのです。

AI×情操教育
現在は「小学生の図画工作における豊かな情操教育を実現するためのAI活用プロジェクト」に取り組んでいます。小学校低学年までは無邪気に絵を描く子どもたちも、高学年から中高生になるにつれ「絵が苦手」と感じるようになります。高校生へのアンケートでも「うまく描けない」「周りと比べて下手だと思う」といった声が多く、その背景には美術や図画工作における「上手い?下手」の評価基準の曖昧さがあると分析しています。まずは「手を動かすのが面白い」と感じてもらう段階が大切で、創作へのポジティブな気持ちを育むことがプロジェクトの目的です。AIは人間の感性を代替するのではなく「養う」「広げる」ためのサポート役と位置付けています。
具体的には、AIが子どもの絵を解釈し「この絵にはこんな可能性がある」「ここが良い点だ」と分析。その結果をもとに「こうすればもっと素敵になるのでは」といったヒントが得られ、児童とポジティブな対話が行えるという仕組みです。AIはあくまで教育サポートツールであり、アートの絶対的な解釈をするものではありません。現在、このシステムのプロトタイプが完成間近で、1?2年以内の社会実装を目指しています。
