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ヒト羊水中の高濃度ケトン体を発見 -羊水中のケトン体が胎児の脳成長に不可欠である可能性-

 
2025年6月5日掲出

 東京工科大学(東京都八王子市、学長:香川豊)応用生物学部の佐藤 拓己教授の研究グループは、金沢医科大学(石川県河北郡内灘町、学長:宮澤克人)産科婦人科学の柴田健雄講師らとの共同研究により、ヒト羊水(注1)中のケトン体(注2)濃度が、母体血中と比較して有意に高いことを明らかにしました。
 本研究成果は、2025年4月25日付でオランダの科学雑誌「European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology」に掲載されました。


写真:ヒト胎児
 図1:ヒト胎児の脳はケトン体濃度の高い羊水中で急成長する

【研究概要】
 妊娠後期、母親のお腹の中でヒト胎児の脳は、脳内の神経細胞が急速に増え、脳の構造と機能が急速 に発達します。妊娠28週頃から大脳の表面にしわや溝が形成され始め、36週~40週頃には大人の脳に似た外観になっていきます。妊娠後期の短期間での脳の成長のために、摂取するエネルギーの大半が胎児の脳で消費されます。また、そのエネルギー基質の60%以上をケトン体が占めていることが知られています。
 本研究グループは、羊水中のケトン体濃度が母体の血中ケトン体濃度と比較して有意に高いことを見出しました。今回の発見は、これまで知られていた胎児へのケトン体供給源が臍帯静脈(注3)経由に加え、胎児が羊水を飲むことで胎児に高濃度のケトン体供給が行われている可能性を示すものです(図1)。


【研究背景】
 ヒト胎