?5 デジタルツインセンターがめざす姿日本のデジタルツインをリードする、開かれた施設へ
情報の公開?発信に、積極的に取り組んでいく
未踏分野への挑戦を目的に始動したデジタルツインセンターですが、これからどんなことに取り組み、どのような姿をめざしていくのでしょう。
デジタルツインは、現実世界からさまざまなデータを収集して統合して扱う点が今までにない新しさだと思うので、そのあたりの標準をセンターで作っていくのは有意義なことかもしれませんね。デジタルツインのいろいろな事例が見れるショーケースのような機能があっても面白いと感じます。
取り組みの内容や成果は幅広く公開していきたいと考えています。特にビジュアライゼーションは我々が得意とする分野なので、ディスプレイでわかりやすく紹介したり、インパクトのある見せ方ができるはず。実際の予定として、今秋開催されるCEATEC 2023で当センターの活動状況をセミナーで発表します。とにかく学生の活動など細かいことでもいいので、積極的にセンターとしての情報発信を行っていきたいですね。
研究成果などはどのように公開していきますか。
もちろん論文の形で発表していければと思いますし、産学共同研究については企業の方と相談のうえ適切な方法で公開していきます。本日参加してくださった企業の皆さんは、何か希望やアイデアはありますか。
弊社の場合はネットのイベントで公開するとか、六本木ヒルズで開催されるアートナイトのようなメディアアート関連のイベントで発信することも想定されます。そのほか世の中には、地域ぐるみのVRイベントなども多いですし、海外で発表しても面白いかもしれないですね。
僕の会社では都市空間と仮想空間を融合するリアルメタバース事業を展開していますが、そこから発想を広げると、人々が活動するさまざまな場に対してバーチャルな創造物をアタッチするような取り組みを行って、メタバースを通じて公開していけると思う。大学のキャンパス自体をデジタルツイン化して、みんなに見に来てもらうのも楽しい試みかも知れません。
産学の連携だけでなく地方自治体の観光課のようなところと組んで、教材としてデジタルツインに取り組みながら、ちゃんと公共的価値があるものを作り、利用してもらうという活動も考えられますね。
人材、技術、情報が集まるセンターをめざして
ところで、本日集まっていただいた3つの企業の皆さんが、互いに手を組んで何かを行う可能性はありますか。
せっかく普段は交わらないような方々と一緒にいるので、何らかのコラボレーションができたら面白いと思いますね。情報共有したうえで、いつも仕事としてやっている受託業務とは異なる、先鋭的な創造?研究ができたら面白いなと。
ぜひ、驚くような化学反応を見せていただきたいですね。業界のトップランナーたちのコラボレーションは、若い人たちにも大いに刺激になるはずですから。
逆に僕らとしても、新しい感覚を持つ若い世代と一緒に活動できることへの期待は大きいです。たとえば彼らに最新のツールや技術を教えることによって、どういう価値を見いだし、何を作り出すかに、すごく興味があります。お互いに刺激し合える関係が理想ですね。この業界にはいろいろな職種の人がいて、アウトプットのやり方も無数にあります。その実例に触れてもらうことで学生が自身の適性を見極められる場になればと思います。
そうですね。産業界の最先端でプロがどんな問題に直面し、どのように努力して解決しているのかって、普通は学生にはわかりませんよね。そういうのを見てもらう場にすることはセンターの構想時からのテーマのひとつですし、大切にしたいところです。
イメージと現実の違いをちゃんと見せてあげることも重要です。
はい。本学は実学主義を謳っていますから、社会の第一線で行われていることを理解したうえで、実社会にプラスの影響を与える人材を育てるセンターにしていきたいですね。
学生だけでなく教員も良い刺激を受けられそうです。
そのとおりで、学生の興味を引くだけでなく、教員を惹きつける場所であることも重要なポイントだと思います。ここに来ればデジタルツインの最新動向がわかる。すると優れた人材が集まって来て、面白い研究がどんどん行われる。その結果、より多くの研究者や企業が注目し、新しい人材や情報、技術がますます集結する。そんな好循環を実現したいと考えています。
そのためには常に先頭を走って、先進的な課題にチャレンジし続けることが大切ですね。デジタルツインセンターは、八王子キャンパスの本部棟1階という、非常に良い場所に広いスペースを確保しました。この環境にも大学の期待や意気込みが表れていると思いますので、ぜひ多くの人に実際に足を運んでいただきたいですね。