メディア学部

School of Media Science 八王子

REC.003 「新世代のエンタテインメント産業人像」

2014年10月7日開催

season 3


REC.003 chapter.1
新世代のエンタテインメント産業人像

―学生も真剣に聞いていました。まず、このことからお伺いしたいと思います。

反畑誠一さん(以下反畑と敬称略):いくつか当たり前と思われることもありますが、日々PCを使いこなしていると、それだけで理解できた気になりますよね。その辺をまず留意して、井の中の蛙では駄目だということが前提にあります。また、グローバル化を皆さんもよく口にしますが、学生には個人における、つまり自分自身のグローバル化を、どのように実行していくのか考えてもらいたいです。
今後世界を舞台に仕事をしていくために、まず(1)の「ニューメディアの産業構造に精通する」ことが考えられます。これは、身近なことで言うとスマホを、ネットを、自分のなかでどう使いこなすか、活用できるか、そのためのリテラシー註1)を修得して欲しいですね。

―メディアばかりでなく、日進月歩で物の創り方や考え方がどんどん新しくなっていきますね。

反畑:要するに新しくなるということは、これまでになかった視野の広がりが生まれるわけです。映像はカラフルになるし、きれいになる。音楽も映像同様に進歩し、音質もよくなるはずです。学生のなかにはその仕事に携わる方も少なくないはずで、彼らは今よりも緻密さを要求されていきます。その基本として、学生時代に情報リテラシーを身につけて欲しいと思います。そして、これらは(2)「新たなマーケティング手法を修得する」に結びつきます。逆説的に言うと、産業構造に精通していなければ、新たなマーケティング手法も見出せないということです。

―(3)「関連法規の基礎知識の修得」は、ちょっと難しい気もしますが…。

反畑:法規的な契約や著作権関連などは日本人の苦手とする分野の一つかもしれませんが、これも学生のときにしっかり叩き込んでおいた方がいいです。
実務が伴わないと実感がないとは思いますが、グローバル社会もデジタル世界も契約で成り立っています。ですから契約実務に慣れるというか、これは敏感であって欲しい。遵守しなくてはならないことですからね。学生時代に基礎知識は修得すべきです。
ライブ?エンタテインメント産業では、コンプライアンス註2)とトランスパレンシー註3)はすべての人に必要なモラルです。これらについては学生時代に、なぜそういう経緯をたどったか?という歴史まで踏み込んで勉強して欲しいですね。

―新世代のエンタテインメント産業人には、専門分野のスペシャリストが求められ、そのためにも(4)「専門領域を選択し才能を特化させる」ことは重要ですが、学生はどういったところから始めればいいでしょうか?

反畑:これはまず自分に、「何が得意なの?」と自問することを薦めます。僕が今、こういう仕事をしているのは文章が書けたからです。これは一つの例ですが、つまり、専門領域はその人の得意分野ですから、いい文章を書けるとか、おしゃべりが上手などは、職業の選択を見据える大きな手がかりになるわけです。

―そこで、才能を特化させるためにも、(5)「感性を磨き、創造性を豊かにする」ことが大切なのですね。

反畑:感性が錆びるのは、年齢とは関係ないですね。誰しも常に磨いていないと感性は錆びてしまいます。その為には好奇心を持たないと駄目で、感性を磨くことイコール好奇心を持つことです。
いろいろな方法があると思いますが、僕は人と会うことによって好奇心が刺激されていますよ。100人いれば100人が違っていて面白いし、教わることも多分にあります。よく「相手は自分の鏡だと思え」と言われますが、人間に対する好奇心がなければ、その鏡にはきっと何も映りませんよね。だから、(6)「人間が好きである」になるのですが、創造性を豊かにするためにも大勢の人に会ってもらいたいですね。

註1) literacy:利用?活用能力。
註2) compliance:法律や条例を遵守すること。
註3) transparency:透明性。

 

chapter.1 新世代のエンタテインメント産業人像

反畑誠一さん

REC.003 反畑誠一さん
音楽評論家
本寄附講座コーディネーター

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