REC.006 chapter.1「昨今のミュージシャンたちのビジネスに対する考え方」
season 5
REC.006 chapter.1
昨今のミュージシャンたちのビジネスに対する考え方
― 今日の学生たちはいかがだったでしょうか?
平山雄一氏(以下平山と敬称略):熱心に聞いてもらえて、今年は凄くやりやすかったです。3年前の講義では目をそらしている学生もいた印象があったけど、いい風に変わったんじゃないかな。外国の留学生たちが質問してくれたのも良かった。それから気になったのが前列に並んでいた3人。積極的に質問してくれて、コミットしたがっているというか、嫌々大学に来てる感じじゃないですよね。
― 講義のテーマは音楽評論家の基礎知識。そして仕事にのぞむ態度でした。
平山:音楽評論家という肩書きは将来なくなるかもしれないけど、評論家的な見方はどんな仕事でも通じるので、それを基礎体力として身につけておくべきだということで、今回は具体的な例を示しながら話しました。
― まず講義では、昨今のミュージシャンたちのビジネスに対する考え方、取り組み方の変化がよくわかりました。学生たちも興味深いものだったと思います。
レコード会社に所属してプロダクションから給料を貰い、原盤のこともよくわからないまま音楽活動していたミュージシャンたちが少なくなかったかつてと比べ、昨今の若いミュージシャンたちは自立し自分たちで何でもやるようになってきたんですね。
平山:その辺が学生を刺激したと思うね。講義で話したけどハイ?スタンダードが出てきてDIY(Do it yourself)の時代に入るわけです。自分たちでやる、全部できるようになるんですけど、そのなかで、小さいバンドでも自分たちで全国ツアーができるようになったんですよ。メンバーが運転して、CDやメンバーがデザインしたTシャツを売って。そのなかで生き残っていくバンドは自分たちを支えているものが何かわかるわけです。ファンも何を求めているかとか。
つまり、経験則のなかで一丁儲けてやるぜという感覚ではなくて、ちゃんとしたビジネス意識を持ち、それが今、表側に出ているんじゃないですかね。そのために彼らは、レコーディングをしながら、全国ツアーを年間2回ぐらいやらなければならないけど。
― SNSも商品開発も、運転も自分たちで行なっているんですね?
平山:そういう経験を通して何が大事かがわかるミュージュシャンたちが増えてきた感じですね。彼らは頑張っていると思う。
それをもう一歩進めると、自分たちが稼いで、同じようなことを考えてる人をマネージャーとして雇うんです。だから全くルールに縛られない人たちが出てくるんじゃないですかね。自分たちのスタイルで頑張って稼ごうという人たち、いいと思いますよ。
― 平山先生はどういったところでそういった変化を感じるんですか?
平山:ほとんどがライブハウスですね。知り合いのマネージャーに僕が面白いと思っているバンドのことを聞くと、「平山さん、あのバンド好きなの? こんな話知ってる?」と教えてくれる。例えば、レコード会社と権利問題でモメているとか、ネタもとは現場の人が持っているということだよね。
chapter.1 「昨今のミュージシャンたちのビジネスに対する考え方」
chapter.2 「「音育」が「食育」と同じようにあるべき。」
REC.003 中川悠介
音楽評論家
- REC.006 chapter 1-2
- chapter.1 「昨今のミュージシャンたちのビジネスに対する考え方」
- chapter.2 「「音育」が「食育」と同じようにあるべき。」
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